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こけし

いま、山形から・・・ めんこいやまがた ここにあり! 私だけの1本に出会う こけし
(平成28年11月18日掲載)

 山形県内の昔からある家を訪れると必ずといっていいほど、飾られているこけし。子どもの頃はなにか怖いような印象があったのに、今、じっくり見てみると、かわいらしさに気づいたりします。ポップな色彩や、手のひらに収まる小さなものが注目され、こけしを探し求める「こけし女子(こけじょ)」もいるのです。

こけしのはじまり、つくり方

 東北地方の温泉場で生まれたといわれるこけし。現在は東北6県に11の伝統こけしの系統があり、そのうちの主に3つが山形県内に残っています。こけしがつくられるようになった江戸時代末期、山間部の温泉場では、木材を切り出してお椀などの生活用品を製作していました。その端材を利用して子どもの玩具や土産物がつくられるようになり、こけしが誕生したのです。玩具としては、高度成長期はセルロイドやプラスチックのおもちゃに押されますが、昭和40年代に入ると、大人の愛好家や研究家がこけしを収集するようになりました。

 山形県こけし会会長・岡崎幾雄さんにこけしのつくり方を伺いました。

 「こけしづくりは、木の伐採からはじまります。私も若い頃は自分で山に入り、イタヤカエデの木を選び、( )り、運びました。材木は乾燥させてから、大まかにこけしのかたちをつくる『木取り』という作業を行います。それから、胴体と頭部に分け、それぞれを電動で動くロクロにセットし、「かんな棒」という刃物を当てながら削っていきます。ロクロがちゃんと使えるようになるまで5年くらいかかります。さらに、かんな棒は自分でつくらなければならず、こけし工人(こうじん)になるには鍛冶屋(刃物の鍛造)もできなければならなかったんです。」と岡崎さん。

 

 その後、筆を使って、頭と胴体に描彩びょうさいをおこなってから、胴体を頭部に差し込み、完成となります。

 

 「私は米沢市小野川で修業しましたが、当時はロクロでこけしの形をつくる『生地屋』、描彩を行う『かき屋』が何カ所かあり、たくさんのこけしがつくられたんですよ」。

山形のこけし、3つの系統

 次に山形こけしの特徴を山形県内に見られる代表的な3つの系統をご紹介しましょう。

 まず、伝統こけし産地の典型にぴたりとあてはまる、山あいの温泉場・肘折温泉(最上郡大蔵村)の「肘折系」こけし。形状を見ると、鳴子系のように胴が太く、肩に段があります。また、重ね菊などの描彩は遠刈田系といわれ、2つの系統が融合しているのが肘折系の特徴といえます。頭には手柄てがらという赤い髪飾りや黒のおかっぱ頭にリボン状の飾りが描かれています。

肘折系 鈴木征一さんのこけし(肩の段や重ね菊の描彩が特徴)

 2つ目は、温泉場ではなく、市街地の中心部・山形市旅篭町でつくられてきた「山形系」。子どもが手に持って遊びやすいように、と頭を小さく、胴を細くした名残が残っています。現在は飾ったときに安定するよう、胴が太くなってきているそうです。描彩は、前髪と左右両側に髪の毛が描かれ、赤い髪飾りがあるのが一般的で、胴の模様は、桜、4枚の花弁の梅、ロクロ線などです。

山形系 小林清さんのこけし(小さな頭と細めの胴が特徴)

 3つ目は、古くからの温泉場として知られる蔵王温泉の「蔵王系」。遠刈田系より分かれて発達したといわれています。形は胴がどっしりとして太く、ボリューム感があります。描彩は、くびれて豊満な胴に華やかな技法・絵柄が使われているのが特徴で、おかっぱ頭を描いたのは蔵王系が最初ともいわれています。前髪と左右両方の髪、赤い髪飾りを描き、胴体には桜崩し、正面に牡丹を配したものもあります。

蔵王系 岡崎幾雄さんのこけし(胴体が太く、頭が大きいのが特徴)
子どもを守る魔除けの玩具

 女性のこけし工人であり、こけしの実演やイベント情報を、ブログなどで発信している、梅木直美さんにお話を伺いました。

 「こけしには地域ごとに『こげす』『こげすんぼ』『でくのぼう』など、様々な呼び名がありました。名称を統一しようということで、遠刈田や鳴子あたりの呼び名だった『こけし』になったそうです」

こけし工人の梅木直美さん

 こけしに使われる主な色は赤・緑・黄の3色と墨。「こけしには必ず赤を使います。赤は魔除けの色。こけしで遊んでいる子どもを守って欲しい、という願いが込められていたのではないかと思います」と教えてくれました。

左は子持ちこけし。右のえじこ(赤ちゃんがはい出さないよう入れておいたワラで編んだかご)には小さなこけしが入っています。
一説にはマトリョーシカの原形となったといわれる入れ子、大八車

 梅木さんは、基本の色にはない青を用い、こけしの背中に羽を描いた天使や、猫のこけしなどを制作しています。理由を聞いてみると「変わったこけしをつくったり、ブログで自分以外の方のこけしの実演を紹介したりすることで、こけしに興味を持つ方が増えてくれればいいという思いからなんです。こけしが好きになると、自然と古いもの、良いものに目が向くようになりますから、私がそのきっかけになれたら嬉しいと思っています」と思いを語ってくれました。

梅木さんの天使こけし、猫こけし
梅木さんの作品

 「例えば、鉄道ファンには、乗って楽しむ『乗り鉄』、撮影して楽しむ『撮り鉄』など、さまざまな楽しみ方がありますよね。こけし収集も、ひとりの工人の作品を集めたり、親子の工人の作品を集めたり、いろんな系統のものを集めたりと、ひとそれぞれ。同じ工人の作品でも、初期のものと、最近のものでは顔が違っていたり、その時々の心模様や筆遣いの呼吸で、仕上がりが違うともいわれています。」

梅木さんの作品(左)と父・修一さんの作品(右)

 「集める方、その人ならではの楽しみがあると思います。こけしは一時ブームが下火になりましたが、最近、また人気が上がってきました。こけしにはいまの若い方たちを癒してくれる力があると思います」。

これもかわいい 手のひらこけし、こけし雑貨

 山形市内でこけしを販売している尚美堂。ここには県内3系統のこけしが揃っています。昭和40年代は30㎝、あるいはそれより大きなものが人気でしたが、現代のこけし女子の皆さんが好きなのは、片手の中に納まるようなサイズのものだそうです。

10㎝前後のものが人気

 尚美堂ではこけしにちなんだオリジナルのタオルや缶バッジ、ピンバッジ、キーホルダーも販売しています。こけしそのものではありませんが、それぞれの系統のかたちや描彩の特徴がわかるようになっており、身近において使えるものもありますから、こけし好きの方に、またおみやげなどにもおすすめです。

こけしタオル
こけしの缶バッチとキーホルダー
たくさんのこけしに会える、こけしまつり

 最後にこけしのイベントをご紹介しましょう。山形市内で開かれる「みちのくこけしまつり」は、宮城県白石市の「全日本こけしコンクール」、宮城県大崎市の「全国こけしまつり」とともに「日本三大こけしコンクール」と呼ばれています。伝統こけし、木地玩具の展示・即売だけでなく、工人が制作を実演して展示・即売を行うコーナー、誰でも楽しめる絵付け体験コーナーなどがあり、足を運べば、様々なこけしに出会うことができます。

第36回みちのくこけしまつり
日時:平成28年12月3日(土)4日(日)10:00~16:00(最終日入場は15:00まで)
会場:山形ビッグウイング

 イベント会場で、温泉場で、お店で、いろんなこけしを見つめてみてください。「これが私にとって特別…」という出会いがあるかも。あなただけの「めんこい」が見つかるかもしれませんよ。


 

取材協力・お問い合わせ

能登屋 栄治郎(岡崎幾雄)山形市蔵王温泉36 TEL.023-694-9205
鈴木征一 最上郡大蔵村南山2126-291 TEL.0233-76-2217
小林清 山形市桧町3-11-28 TEL.023-684-8866
梅木直美 山形市泉町15-7 TEL.023-623-1895
尚美堂 山形市七日町2-7-18 TEL.023-622-3947

 


 


 


 

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  • 平成28年11月18日掲載

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