ホーム > 組織で探す > 総務部 > 秘書広報課(広報室) > 広報室 > メールマガジン「いま、山形から・・・」 > シリーズ企画 > おらほの自慢 > 馬肉食文化(長井市)

馬肉食文化(長井市)

いま、山形から・・・ おらほの自慢 長井の歴史はウマとともに。馬肉食文化(長井市)
(平成28年8月19日掲載)

 長井市内の飲食店でラーメンを注文すると、一風変わったチャーシューがのっていることがあります。このチャーシュー、豚でも牛でもなく、なんとウマ!長井市では古くから馬肉食文化が根付いていて、平成24年から、8月29日(バ・ニ・ク)を「ながい馬肉の日」に制定しています。

馬と長井のなが~い関係
長井商工会議所地域活性化推進室の梅津毅さん

 お盆や正月、お祝いごとやお祭りの日など、家族や親戚が集まる、ハレの日のごちそうとして、長井市では「馬刺し」が食されてきました。また、市内の飲食店でいただくラーメンには馬肉のチャーシューがのせられていることも珍しくはありません。なぜ、長井市には馬肉食文化が根付いているのでしょうか? 長井商工会議所の梅津毅さんに、長井市と馬の関係を教えていただきました。

真言宗豊山派 普門坊

 「平安時代末期には、長井市を含む置賜地方は馬産地として知られ、年貢を馬で納めていたという記録が残っています。食用としてではなく軍馬や農耕馬、荷馬として馬を育てていました。長井市横町にある真言宗 豊山派ぶさんは普門坊ふもんぼう には、『木造馬頭観世音菩薩立像』という60年に一度御開帳される秘仏が保存されています。身の丈2メートルで東北随一の馬頭観音の巨像であり、昭和62年に山形県有形文化財の指定を受けています。馬への感謝や馬が丈夫に育つことを祈願するために鎌倉時代に作られたものと見られていますが、古くから馬が生活に根付いていた証しと言えるでしょう。普門坊では昭和30年代初期まで、年に一度『馬祭り』というお祭りが行われていました。着飾った馬を引いた馬方が列をなして参拝に訪れ、多いときには1日で千頭の参詣があり、列の長さが2kmも続いたと記録にもあるんですよ」。


 

最上川舟運と馬
船着場の一つ、長井市中心街にほど近い小出舟場跡

 長井市の馬肉食文化には、山形県の母なる川・最上川も深く関わっている、と梅津さんは続けます。

馬街道の碑

 「ここ長井市周辺はかつて『山の港町』でした。最上川舟運が盛んだった江戸時代、このあたりは米沢藩の最初の船着場だったからです。物資を船で運び、馬に乗り換える交通の要所でしたので、荷馬を供給するためにも、馬の飼育や馬市(馬の市場)が盛んでした。現在の新潟県新発田市と米沢を結ぶ越後街道から、長井の町場へ通じる道は、馬が多く行き交っていたので『馬街道』と呼ばれていたほどです。この名称は、馬の往来がなくなった現在も『市道・馬街道線』の名前で親しまれています。また、昭和初期には長井市内で草競馬のイベントが行われていたとの記録もあり、馬は長井市民の生活と切っても切れないものだったと言えるでしょう」。


 

チャーシューも馬!? 謎も多い馬肉食文化

 軍馬、農耕馬、荷馬…。時代の移り変わりとともに馬との関わり方も変化していきますが、食用とするようになったのはいつごろからだったのでしょう? 残念ながら馬肉食文化のはじまりに関して明らかにするような文献は残っていません。「牛馬を飼うものは四つ足の動物を食べてはいけない」という風習があったため、記録さえできなかったのではないか、と推測されます。

新来軒のチャーシュー麺(800円)

 「江戸時代後期の馬の売買に関する取引内容が残っていますが、『斃馬へいば 』(死んだ馬)の取引もされていたようです。死んだ馬を取引するということは、食用だったのかとも思いますが、実際のところはわかりません。いずれにしても、『薬食い』と称しながら『桜肉』という隠語を使って食べていたようです」と梅津さん。その後、農耕器具、交通の発達により、馬の需要が少なくなるにつれ、馬肉が安く売り出されるようになっていきます。全国で馬のと畜頭数が14万5千頭とピークになったのが昭和31年。その3年前、昭和28年に今泉駅前にオープンした「かめや食堂」では、それまで豚肉が主流だった中華そばに、馬肉チャーシューをのせて提供をはじめたそうです。また、長井市中心部に昭和5年より店をかまえる「新来軒」でも、馬肉チャーシューを食べることができます。

 「歯ごたえ、食べごたえがあり、クセがなく脂身も少ない馬肉チャーシューは、評判をよび、わざわざこれを食べに長井市に来る方もいたそうです。ただ、長井市民にとっては日常的に食べているものでしたから、そのラーメンが『他所にない』ものだったと気が付いていなかったのだとか。市外の店でラーメンを食べて『チャーシューが馬肉じゃなくて驚いた』と、年配の方から伺ったこともあります。ハレの日のごちそうとしての馬刺し、飲食店での馬肉チャーシューのほか、鍋料理や煮込みにして馬肉料理を日常的に食べていたとも聞きます。簡単に手に入り、栄養価も高いので、馬肉は非常に重宝する食材だったのではないでしょうか」。


 

次々登場する馬肉食品
お祭りには欠かせない「さくらフランク」
馬肉を使った「旨Sioいも煮」は毎年秋に行われている長井1000人いも煮会で食べられる。

 低カロリー、低脂肪、低コレステロールということで、身体にもよい馬肉は、近年全国的に人気が高まっており、かねてより食文化が根付いている長井市でも、馬肉食品が続々と開発されています。その先駆けとなったのが、長井まちづくりNPOセンターと草岡ハム加工組合が平成17年に共同で開発した「さくらフランク」でした。

ナルトが可愛らしい馬肉ラーメン肉まん

これは馬肉を使ったフランクフルトで、パリッとした食感と、馬肉にあわせたスパイシーな味付けが特徴で、現在では市内でのお祭りやイベントには欠かせない人気商品となっています。また、長井市雇用創造協議会で開発したのが「馬肉ラーメン肉まん」。馬肉ラーメンを、もちもちの皮でまるごと包んだ肉まんで「片手で手軽に食べられる」と人気を集めています。こちらは、お祭りやイベントのほか、市内にある丸川精肉店などオレンジ色の馬肉ラーメン肉まんののぼりが立っているお店で購入可能です。


 

全国へ広がりを見せる長井の馬肉食文化
最上川をバックにポーズをとる馬型宇宙人のバーニック・ナガイ
初登場時のバーニック・ナガイ。この姿でゆるキャラグランプリ2012に出場しました(552位)

 「長井市では、『①長井には優れた馬肉料理が多数存在する』『②新たな商品開発よりも、既存商品の磨き上げを優先すべき』『③馬肉料理取扱店を掲載した「ながい馬肉マップ」の作成』という現状分析と方針決定を行ない、平成24年より8月29日を「ながい馬肉の日」と制定しました。同時に『バーニック・ナガイ』というマスコットキャラクターを作り、市内外へプロモーションをしています」とキャラクターのデザインも担当した梅津さん。

 バーニック・ナガイの着ぐるみは、他のご当地キャラクターとは違い「完全」ホームメイド(総自家製)」を売りにしています。100円均一ショップやホームセンターをまわり材料を購入し、工夫を重ねながら手作りして現在の姿になりました。コスチュームの総額は1万円程度と非常にリーズナブルで、市内はもちろん最近では市外のイベントにも登場しています。

「ながい馬肉の日」にあわせて配布される「ながい馬肉マップ」は、ノボリのある場所でもらえます。

 今年は、8月13日(土)から10月10日(月)に横浜市の馬の博物館で行われる「馬関連キャラクター&マスコット紹介展(北海道・東北編)」に、パネルとグッズが展示されています。また、8月29日(月)の「ながい馬肉の日」に行われる「ながい馬肉の日制定記念イベント 第5回いいがら馬肉喰うべの会」にも登場予定。見かけたら是非、かわいらしいバーニックをチェックしてみてください。

8月29日に開催される「いいがら馬肉喰うべの会」の様子。詳細や参加申し込みはfacebookページをご確認ください。

 年々広がりを見せる長井市の馬肉食文化。8月29日の「ながい馬肉の日」ももうすぐです。今も随所に馬とのつながりを感じさせる街を散策しながら、皆さんも馬肉食文化を堪能してみてはいかがですか?


 

取材協力

長井商工会議所 tel.0238-84-5394 http://www.nagai-cci.or.jp
 


 


 

この記事に対するお問い合わせ

このページの先頭へ

ナビゲーション

関連情報