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長岡義和さん・未実さん(川西町)

いま、山形から・・・ いま、山形の人 まちの暮らしはじわ~っと面白い。川西町地域おこし協力隊 長岡義和(よしかず)さん 未実(みみ)さん
(平成29年2月17日掲載)

 何気ない絵に見えても、そこに描かれているのはこの町から見える飯豊の山、川西の田んぼ。陶芸家にしかできない、この夫妻だから出来た作品。創作のかたわら夫は散弾銃をもって猟へ、妻は川西の風景を訪ね歩き絵皿に想いをこめる。この地に来て3年目、じわ~っと面白がっている陶芸家夫妻をご紹介しましょう。


この町だから、移り住んだ

 はじめに、お二人が移り住んだ川西町をご紹介しましょう。

 山形県南部、置賜地方のほぼ中央に位置し、南西部は飯豊連峰に連なるなだらかな丘陵地帯。北東部には肥沃な水田が広がっています。周囲の山々に積もった雪は春から夏にかけて解け出し、農作物に欠かせない自然のミネラル分を含んでいます。この豊かな水が広大な水田を潤し、県内では庄内平野に次ぐ「米どころ」となっています。

 肉用牛(黒毛和種)の飼育が盛んで、特に繁殖牛の飼育頭数は県内一を誇り、「米沢牛」の子牛を最も多く育てています。最近では大豆ポリフェノール「アントシアニン」を含む赤い大豆、「紅大豆」が注目されていて、この生産・販売にも力を入れています。

 観光では国内最大規模のダリヤ園が有名。「夢味」や「吾妻の山」など、この町で生まれた多くの新品種を含む650種10万本のダリアが咲き誇ります。

 明治の初期、美しい日本の原風景を求めて旅した、イギリスの著名な女性旅行家・イザベラ・バードは、この地を訪れ「アジアのアルカディア(桃源郷)」と賞賛しています。

大塚地区の薬師如来のお祭り

 長野県出身の長岡義和さんと、神奈川県出身の長岡未実さんはともに京都の職業訓練校に学び、神奈川県内で8年程、陶芸の創作活動を行っていました。ある年の夏、登山やアウトドアが大好きで、東北にあこがれを持っていたふたりは川西町を訪れ、地区の祭りの様子を目にします。

 未実さんによれば、「私の住む神奈川では、地区のお祭りでこんなに立派なお祭りはありません。しかもそれを若者達が一生懸命に繋いでいる、誇りに思っている事が伝わりました。 素晴らしい文化と伝承、自然と共に生きる人々の強さや優しさを目の前で見せて頂けたのが印象的でした」。

 ここで暮らしてみたい。ふたりの心が動かされたそうです。

 川西町では、地域力の維持・強化を図るため、地域外から現在11名の「地域おこし協力隊」隊員を受け入れていますが、ふたりはこれに応募し、県内初の夫婦での協力隊員として平成26年採用されました。

 任期が始まる12月、神奈川から川西町へ向かう途中、米沢市で道路の両隣に積まれた雪の量を見てふたりは驚いたそうです。

 「まるで雪の壁。それがずーっと続いている。雪が多いと聞いてはいたけれど、これ程とは・・・。着任する前に心が折れそうでしたが、ここまで来たらと覚悟を決めました。今では完全に川西町での暮らしを満喫していますがね。」

 2年前を振り返り、義和さんが笑みを浮かべて話してくれました。


住むことで知った、春の歓び、狩猟の世界

ふたりが借りている古民家

 長岡さん夫妻には陶芸用の粘土などを置くガレージや作品の制作場所、焼き窯の設置場所が必要でした。町役場や地域の方が一生懸命探して下さり、築120年という古民家に住むことになりました。

和室の一室。ふたりの作品を載せた長持ながもち

 「赤い屋根の大きな家だなと思っていましたが、初めて川西に着いたころは雪で辺り一面がまっ白。どこまでが敷地なのかもわからず、春になってやっと、『ああこういう景色が見えるのね』と。不思議な体験でした。

 それと、道路にはいつも雪があって、アスファルトがずっと見えないという経験も初めて。晴れ間もあまりなくて、地吹雪、ホワイトアウト(降雪などによる視界不良)・・・。

銃を持って狩猟へ出発。消防団活動も行っています。

 初めてづくし。だからこそ『春がきただけで幸せ』という東北の方々の気持ちがわかりました。花の咲き方にも驚きましたね。関東ではスイセンは冬に咲くのですが、ここでは春に咲くんです。梅も桃も、桜も一緒に『どかっ』と咲くんです。もうそれだけで幸せ」と未実さん。

 一方、冬もイキイキと活動しているのが義和さんです。もともと狩猟のための罠や網の免許を持っていたそうですが、雪の多い川西では鉄砲による狩猟が効率的と教えられ、鉄砲免許を取得。狩猟仲間ができ、狩猟期間となる冬には熊やイノシシの害獣駆除、鴨の猟に出ています。「猟のために山に入ると、誰も見ていない美しい風景に出会えるのも猟の魅力。東北は広葉樹が多いから新緑の芽吹きもキレイなんです」と話してくれました。

 獲物の肉は「頂いた命だから、最後まで食べきる」。鍋料理や「オレンジソース掛け」といったフランス料理に仕立てられ、長岡さん夫妻や友人たちでジビエパーティーになることもあるのだとか。


陶芸でつながる町の人々との交流、そして創造

 協力隊員となって2年、ふたりは陶芸家ならではの活動を行ってきました。陶芸教室は大人気で、集落や子ども会、婦人部などから多くのひきあいがあり、たくさんの方と知り合うことができたそうです。

粘土を砕き、水と混ぜ、干したもの。練ってビニール袋に入れて寝かせます。
玉庭の特産品づくりで出来た、にぎり猿。ぎゅっと握ると気持ちがいい。
ふたつで一対、ひとつで一対のお雛様。名前はまだ決まっていません。

 玉庭地区交流センターからは「玉庭の特産品づくり」の依頼を受けました。玉庭地区の山の土を掘り出し、粘土をつくり、これを活かし、陶器をつくることに成功。玉庭の名物、言い伝え、文化や習慣について地元の方々と話し合いながらアイデアを出し合い、陶器製の郷土玩具をつくることになったのです。

 「玉庭地区は農作物の猿の害がひどく、『丹精こめて育てた作物を食べられ、猿なんか憎くてにぎりつぶしてやりたい!』という話があったんです。それをヒントに『去るものをつかむ』という縁起物にしようとできたのが、にぎり猿です」と未実さん。

 また、毎年3月に行われ、江戸時代の雛人形を飾った民家を一般公開する「玉庭ひなめぐり」に向け、みやげ品として雛人形を制作しました。開催日に向けてただいま猛作業中だそうです。

陶芸以外の活動もあります。中郡地区交流センターゆうゆう大学で。
みなさんと演歌や童謡を歌い、手遊びをしました。


川西町が、作品を変えた

中鉢の内側には白いブナ林と熊
中鉢の外側には、川西から見える山々

 昨年オープンした町の6次産業の販売拠点である、農産物直売所「森のマルシェ」。義和さんがろくろで挽いた生地に未実さんが動物や風景を描いた中鉢などの染付作品が、ここで販売されています。川西町ならではの見覚えのある風景は地元の方たちから熱烈に支持され、一時は制作がおいつかなくなった程です。

 「川西町に来て、絵が変わってきました。たとえばカラス。クルミをくわえて道路に落とし、車のタイヤが通るのを待っているけど、『その労力は結果に見合わないんじゃないかな』と、気になりだしたり(笑)。都会生活のとき気にも留めなかったものを描いてみたいと思うようになりました」と未実さん。今年8月には静岡県三島市での個展開催が決まり、準備で増々忙しくなる予定です。

クルミをくわえ、道路に落とすカラス。

 「この地に来て3年目になります。周囲の方々にやさしく見守っていただき、温かく受け入れていただきました。おかげでたくさんの活動をすることが出来たと感謝の思いでいっぱいです。

 ここでの暮らしは『すごく面白い』という訳ではないけれど、『じわ~っと面白い』。神奈川で暮らしていたらどこかへ行って楽しむ、買い物して楽しむ、という生活だったと思います。ここは暮らしの身近なところで『生きている』と感じることができ、暮らしそのものが楽しいことを教えてもらいました。

 隊員としての最終年は、これからの定住に向けて、自主企画を中心にした活動が認められています。この地に住み続けられるよう将来の経営を見すえてしっかり活動していきたいです。」

 いまやすっかり町にとけこみ、地域の力となっている長岡さん夫妻。お二人がどんな活動を展開していくのか、これからの活躍がますます楽しみです。


玉庭ひなめぐり

平成29年3月25日(土)・26日(日)
東置賜郡川西町大字玉庭6708-5
お問い合わせ 川西町玉庭地区交流センター TEL.0238-48-2130


取材協力

川西町まちづくり課 TEL.0238-42-6613
川西町地域おこし協力隊(ちまるデザイン室) TEL.0238-42-6694 https://www.facebook.com/chimarudesign/



 

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  • 平成29年2月17日掲載

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